この記事は少し古いですがTiger Technology 社のブログ「Understanding Cloud Storage Tiers and How They can Help Your Business Save Money Apr 28, 2023」からの引用です。
注)内容はすべて2023年4月時点のものです。
各サービスプロバイダの説明ページ等様々な情報がインターネット上にあると思いますが、そこにアクセスする前に一度目を通しておくとよいかと思います。
クラウド ストレージは重要なデータを保存する手段として有効です。クラウド ストレージは、バックアップ、アーカイブ、またはローカル ファイル システムの拡張として使用できます。現在、多くのクラウドサービスプロバイダーがさまざまな階層(Teir)のストレージを提供しています。以下、階層(Teir)のことを階層と呼びます。
コストパフォーマンスを考慮したデータの保存および管理をしたい場合は、これらの階層の仕組みを理解することが重要です。
この記事では、これらの階層の概要と使用方法について説明します。地域、条件により、料金は変わるので、正確な料金の内訳は取り上げません。
クラウド階層化: 概要
階層は大まかにホット層とコールド層に分類されます。
ホット層は、頻繁にアクセスされるデータを保存するために使用されます。料金は高くなりますが、高速でデータにアクセスが可能です、データへのアクセス料金は低額または無料です。また、データ ストレージには最低契約期間がありません。
コールド層は、アクセス頻度の低いデータを保存するのに適しています。料金はホット層と比べて大幅に低いです。データの最低契約期間があります。通常、データはすぐには利用できず、取得に数時間かかることがあります。またデータ保存の料金とは別にデータ取得のための料金がかかります。
すべてのクラウド サービスプロバイダーが(ホット層、コールド層等の複数の)階層を提供しているわけではありません。一部のプロバイダーは定額の単一階層を提供している場合もあります。単一階層のみを提供しているクラウドサービスプロバイダーの料金は、一般的にはホット層より安く、コールド層より高い場合が多いです。この種類のクラウドサービスプロバイダーがデータはすぐにアクセスでき、通常はアクセス料金はかかりません。最低契約期間が設定されている場合があります。
AWSクラウド
AWS は現在 6 つの階層を提供しています。4 つのホット層と 2 つのコールド層で、すべて S3 と互換性があり、同じ API を使用します。以下に、ホット層からコールド層の順にリストします。
S3 Standard : その名前が示すとおり、メインの階層で、ホット層です。最も料金が高い階層です。データにはすぐにアクセスでき、データ アクセス料金や最低契約期間はありません。ローカル システム ファイル拡張に最適な階層です。
S3 Intelligent – Tiering: 使用状況に基づいて、ホット層とコールド層の間でデータを自動的に移動します。自動的に移動した先の階層のストレージ料金が適用され、管理料金と最小オブジェクトサイズ料金があります。コストは非常に予測しにくいですが、データライフサイクルを適切に管理する方法がない場合、これは良い選択かもしれません。
S3 Standard – Infrequent Access: アクセス頻度は低いが即時アクセスが必要なデータ向けの低料金のホット階層です。S3 Standrdの約半分の料金ですが、最小オブジェクトサイズ料金と、保存されるオブジェクトごとに 30 日間の契約が必要です。アクセス料金も適用されます。これは、データに即時アクセスする必要があるが頻繁ではない場合に、継続的なデータ保護とファイル拡張を行うのに適したオプションです。
S3 One Zone – Infrequent Access: ワンゾーンは、データはリージョン内の 1 つのデータ センターにのみ保存されます。このため他のサービスより対障害性は低くなります。
S3 Glacier Instant Retrieval、S3 Glacier Flexible Retrieval (旧 S3 Glacier)、および S3 Glacier Deep Archive:、アクセス頻度が非常に低いアーカイブ データ用に設計された 3 つのコールド階層です。S3 Glacier Instant Retrieval は、S3 Standard および S3 Standard – Infrequent Accessと同じスループットとミリ秒単位のアクセスで、アーカイブ ストレージへの最速のアクセスを提供します。
S3 Glacier Flexible Retrieval および S3 Glacier Deep Archive は、標準ではアクセスに12 時間が必要です。Glacier Flexible Retrieval は、数分で迅速に取得できますが、データ取得のための料金は S3 Glacier Deep Archive に比べて高くなります。S3 Glacier Flexible Retrieval および S3 Glacier Deep Archive は、データ取得コストが高く、オブジェクトあたりの最小契約期間は 3 か月と 6 か月です。コンプライアンス上の理由等でデータを長期間保存する必要がある多くの組織では長期保存コストを大幅に削減できるためにこれらの層を検討することをお勧めします。
Microsoft Azure
Microsoft は、ホット階層、クール階層、アーカイブ階層の 3 つの階層を提供しています。また高トランザクション データ用に設計されたプレミアムホット階層もありますが、現時点ではプレミアム階層から他の異なる階層への階層化をすることはできません。それ以外では、ホット、クール、アーカイブ層は、AWS S3 層と同じパターン (高から低のストレージ料金、低から高のデータ取得料金、およびデータ取得時間) に従います。オブジェクト ストレージの最小契約期間は、ホット階層、クール階層、アーカイブ階層でそれぞれ 0、1 か月、6 か月です。
Microsoft では、1 年または 3 年間の最小ストレージ契約に対して、階層ごとにより低い固定価格を提供する予約容量価格を提供しています。
Google Cloud
Google は、Standard、Nearline、Coldline、Archive の 4 つの階層を提供しています。価格は地域によって異なりますが、AWS Standard、Infrequent Access、Glacier とほぼ同水準です。Google Cloud Standard にはデータ取得コストはありませんが、料金が高くなります。Archive 層では、オブジェクトごとに最低 365 日間の契約期間があります。Google Cloudの長所としては、必要に応じてアーカイブ データにすぐにアクセスできることです。
IBM Cloud
BM には 4 つの階層があります。Amazon S3 Intelligent Tiering と同様に、IBM Smart Tier はアクティビティとアクセス頻度に基づいてデータをホット階層、クール階層、コールド階層の間で管理します。ここでも、ストレージ料金は高いものから安いものまで、データ取得時間は短いものから長いものまであります。また、長期ストレージ料金を低く抑えることができ、12 時間または 2 時間で取得できる Archive クラスと Accelerated Archive クラスもあります。
Wasabi Cloud
Wasabi は、イングレス、エグレス、I/O コストなしで、保存容量ごとの固定料金 (地域によって異なる場合があります) でクラウド ストレージ(Azure, AWSはクラウド仮想サーバーも提供)のみを提供する新世代のクラウドサービスプロバイダーです。一部の契約では、オブジェクト ストレージの最小料金が最大 3 か月になる場合があります。1 年、3 年、5 年を超える予約容量契約の場合も、コストは低くなります。
クラウドサービスプロバイダーの選び方
上述の通りクラウドサービスプロバイダーの選択肢は多くありますが、多くの場合、企業のポリシー、サービス提供の地域、またはデータ主権に関する懸念などによって選択肢が絞り込まれます。
バージョン管理のサポートやバケットの不変性など、意思決定プロセスの要因となる可能性のある他の重要なデータ管理基準もあります。
クラウドの選択は、コンピューティング サービスなどの他のクラウド サービスによっても影響を受ける可能性があります。Azure と AWS には、クラウド ストレージに加えて複数のサービスがあります。
クラウドサービスを使用するかを決定する鍵は、データとワークフローを理解することです。
主なビジネス ニーズとデータ管理の目標に応じて、次の大まかな原則を適用できます。
- ローカル サーバーをクラウドに拡張する:即時アクセス、送信料金なし、最小オブジェクト サイズ要件やストレージ契約のないホット階層が適切です。データがローカルに保存されなくなった場合、ユーザーはクラウドからのデータに依存するため、制限がない方が良いです。
- 継続的なデータ保護: 継続的にクラウドにコピーを保存する使い方を仮定すると、クール階層または低頻度アクセスレベルのいずれかを使用できます。ユーザーがデータにアクセスするのは、データが失われた場合、または以前のバージョンが必要な場合のみです。クラウドに拡張された監視データとして使用する場合は、クール階層の低いストレージ料金が取得および削除料金のデメリットを上回るオプションになることもあります。
- クラウド2 番目のバックアップとして使用:データが保護された 2 番目のコピーであると仮定すると、クール階層または 1 ゾーンタイプの階層を使用できます。RTO(目標回復時間)が 12 時間を超える場合、または迅速な取得が利用可能な場合は、コールド階層を使用できます。
- アーカイブまたはコンプライアンスのために使用:このデータは通常、コールド階層に保存されます。
Tiger Bridgeがクラウド階層化でデータ管理を補助する方法
Tiger Bridge は、すべての主要なクラウド プロバイダーと完全な API 統合を備え、ソフトウェアのみでポリシーベースのデータ管理を可能にするソリューションです。Tiger Bridge はローカル データに関連付けられたすべてのメタデータを認識するため、データの古さやデータ使用量に基づいてポリシーを設定し、クラウド内の任意の階層にデータをコピーまたは移動できます。Tiger Bridgeを導入すれば、データ ライフサイクルに応じて最も低コストの階層にデータを保存することができます。
Tiger Bridge は、比較的管理費が高いインテリジェント データ管理クラウド サービスに代わるものであり、ポリシーに基づいて階層間でデータを自動的に移動します。たとえば指定されたコンプライアンスデータであれば、データを直接アーカイブ層にTiger Bridge により移動をすることも可能です。
単一の Tiger Bridge インスタンスは複数のクラウドサービスプロバイダーもサポートするため、企業はコスト効率よくデータを保存することができます。
結論
クラウド層は、コスト効率よくデータを保存するための大きな柔軟性を提供します。オプションは多数あり、適用される可能性のあるストレージ、アクセス、管理料金の範囲により、価格設定は非常に複雑になることがよくあります。コールド ストレージは非常にコスト効率に優れていますが、オブジェクトには最低契約期間があり、一般的に送信料金が高く、データ取得に時間がかかります。
データのライフサイクルを理解することは、正しい決定を下すための鍵となります。この情報を取得するツールがない場合は、過去および現在のデータ使用パターンを表示するデータ評価サービスを検討してください。この情報を取得したら、利用可能なデータ管理ツールを検討してください。Tiger Bridge などの完全なクラウド API 統合を備えたツールを使用すると、このプロセスを手動で行うのではなく、継続的に簡単に自動化できるため、障がい復旧にコストのかかるエラーを回避することができます。データ パターンが変わった場合にポリシーを調整できるように、常にクラウド コストを監視してください。
Tiger Bridge を使用してローカル ストレージをクラウド層に接続する方法について詳しく知りたいですか? この5 分間の概要ビデオをご覧ください。