CLASTOR-HSMは、Tiger Technology社が開発したTiger BridgeをHSM(Hierarchical Storage Management)ミドルウェアとして搭載しています。Tiger BridgeはAFAストレージとHDD RAID Arrayストレージを一つの仮想的ストレージスペースとして構成します。
CLASTOR-HSMはAFAストレージの高速アクセス性能の長所とHDD RAID Arrayの大容量の長所を活かし、二つのストレージを一つのストレージスペースに統合したハイブリッドネットワークストレージです。
HDD RAID Arrayの場合、アクセス数が多くなると急速にレスポンス性能が低下し、いつまでもIOのリクエストが完了しない状況が発生します。一方、All Flash Arrayではビジー率が80%程度でもレスポンスの大幅な劣化は発生せず、高いサービス性能を維持します。
All-Flash Array(AFA)は高性能SSDドライブを搭載し、0.1ms前後の高いアクセス性能を誇ります。
左図上グラフのブルーの曲線はAFAストレージのビジー率とアクセス性能の関係をグラフに表しています。多くのクライアント、アプリケーションからの同時アクセスによりストレージのビジー率が90%程度までは、レスポンスタイムが極端に劣化することなく高いアクセス性能を維持します。
一方で、左下の図のブルーのグラフが示す様に、容量単価はハードディスクベースのRAID装置に比較して10倍以上になり、4K/8K映像に代表される大容量リッチメディアデータ用ストレージとしては投資効果の妥当性が課題になります。
ストレージのコストは使用するデバイスで総額が変わります。上の図はエンタープライズクラスのストレージでAFAストレージと、HDD RAIDストレージの容量と投資コストの関係を表しています。黄緑の線がCLASTOR–HSMの価格レンジです。
ハードディスクをデバイスとしたHDD RAID Arrayは圧倒的に低い容量単価と、安定したストレージインターフェースにより、基幹ストレージとして広く使われています。しかし、左上図のオレンジのグラフが示す様に、平均アクセスタイムが3msとAFAと比較するとメカニカルな要素により、30倍の開きがあります。
結果として、複数のファイルリクエストを同時に処理するストレージでは、ストレージのビジー率が50%を超える時点からレスポンス性能が急激に劣化し、ジョブの処理性能に顕著に影響し、サービスは大幅に劣化します。
一方で、容量単価はAFAに比較すると圧倒的に安く、特に、大容量リッチメディア用ストレージとしては、複数同時アクセス時のパフォーマンスの劣化問題を無視すれば、不可欠なストレージといえます。
CLASTOR−HSMの保存されたデータは、設定ポリシーに基づき、HDDストレージに複製されます。一定期間アクセスがない場合、そのファイルのヘッダー/フッター情報を含むStubファイルを残して、データ部分をAFAストレージから削除し、そのスペースを解放します。
ユーザーやアプリケーションが再度、そのファイル(Stubファイル)にアクセスするとデータ部分は直ちにHDDストレージからAFAストレージにロードされます。大容量の映像データの場合、データ全体がリロードされる前に、リロード済みのデータからリプレーすることが可能です。
CLASTORーHSMは各種のミッションクリティカルなアプリケーション用ストレージとして、増大するデーター量とアクセス性能の劣化の悪循環からシステム管理者を解放します。